第9回 少年少女禅の集い

〜下総地区〜


少年少女禅の集い 下総地区


 平成19年8月2日(木)、3日(金)の2日間、千葉市 満蔵寺様において、千葉県宗務所主催の少年少女禅の集い(下総地区)が下記の日程にて行われました。

 はじめに本堂で開会式を行い、会場主の森田英仁師よりみんなに守ってほしい3つのお約束についてお話がありました。

開会式 会場主のお話 静かに話を聞く子どもたち

 集いの間、レクリエーションや掃除は班ごとに行います。今年は25人のお友達が集まり、4つの班が作られました。

班別写真 1班 班別写真 2班

班別写真 3班 班別写真 4班

 最初のレクリエーションでは夜に使用するロウソクを作りました。材料はサラダ油と凝固剤。コンロも使うため、油断は厳禁です。和尚さん達の説明を聞き、それぞれに協力し合って自分たちのロウソクを作りました。

ロウソク作り 和尚さんから作り方を教わります

かき混ぜて… 固めるために凝固剤を入れます

完成作品
完成!火をつけた様子

 後片付けをした後は、バスに乗って銭湯まで行きました。大きな湯船にみんな興味津々。少ない蛇口をゆずり合いながら、順番で体を洗い湯船につかりました。

 昼間にかいた汗を流したら、いよいよ夕食の時間。今夜のメニューはみんなの好きなカレーです。

 この一皿のカレーも、多くの人やもののおかげで、こうして口にする事が出来ます。料理を作ってくれた人、材料になる野菜や家畜を育てた人、食器や調理道具を作った人、そして命を分けてくれた生き物達、空気や水、お日さまの光などなど…。数え上げたらきりがありません。

 食事だけに限らず、私たちは沢山の人やものに支えられて生きています。その事に感謝し、自分も誰かの支えになる事を願って、おいしく夕食をいただきました。


 食事も終え暗くなり始めると、お待ちかねの花火です。手持ちの花火の他に打ち上げ花火や「ナイアガラの滝」も登場して、夜の広場は鮮やかな光の華に満たされました。

花火 こんなに沢山の人と花火をするのははじめて!

 その後本堂へ移動し、本日最後の行事であるともしびの集いを行いました。ご本尊様より灯りを頂いた和尚さんから、昼間自分たちで作ったロウソクに火を分けてもらいます。そして、そのロウソクと昼間書いておいた夏休みの誓いとを本尊様に奉納し、少しの間坐禅をしました。

和尚さんから灯をもらう 大きな輪になった

本尊様に奉納しましょう 本尊様の前で、静かに坐る…

 日頃遠くからしかご本尊様を拝んだことがない子も、今まで本堂に入ったことがないという子もみんな、ご本尊様のすぐ近くまで寄ってともしびを捧げました。初めて間近に見る仏様に、子供達は何を感じたのでしょうか。


 翌日の朝は、洗面し自分たちで協力して布団を片付けた後、坐禅を行いました。空気も澄み、小鳥のさえずりが聞こえてくる本堂の中、子供達はしっかりと背筋を伸ばして坐っていました。その後、朝のおつとめではみんなで般若心経をお唱えしました。

朝の坐禅

 朝食も終え、自分たちの使っている部屋を掃除した後は、お寺の隣にある青葉の森公園でオリエンテーリングを行いました。あらかじめ用意された課題には、難易度によって1〜10の点数が割り振られています。それらを班に分かれてクリアしていき、その合計点を競います。時々水分をとりながら、班のみんなで協力して課題に立ち向かいました。

 頭と体をたくさん使って、おなかもぺこぺこです。昼食はそうめんで、予想外の具に(!?)びっくりしながらも楽しくいただきました。


 昼食を終えると、そろそろ禅の集いも終了です。再び本堂に上がり、最後に閉会式を行いました。はじめに鐘の合図にあわせてご本尊様に3度の礼拝をし、般若心経をお唱えしました。そして、2日間頑張ったことをたたえた修了証を受け取り、和尚さんのお話を聞きました。

閉会式 仏様に三拝

鳴らしものなども自分たちで行う 修了証の授与「よく頑張りました」

 お寺で生活したり、沢山のお友達と寝起きをともにする事は、普段はなかなか出来ない貴重な体験です。この集いで体験し、感じた事を1つでも心に留め、日々の生活に活かしてくれる事を、我々スタッフは切に願っています。

 そして参加した子達が大きくなって、「そういえば小さい頃、夏休みにお寺でこんな事をしたなぁ」と思い出してもらえたら、大変嬉しく思います。


〜実行委員長のコメント〜

 毎年禅の集いを終えると、参加者の子供たちの中に何かを残すことができたのだろうかと自問します。本年は8月2日、3日に自分のお寺(満蔵寺)で開催させていただいたので、その思いはひとしおです。

 人は母胎に生を受けて以来、生まれてからも暫くはその“包み込む”女性原理の中で幼い時を過ごします。しかし徐々に言葉を覚え自我を芽生えさせていくにつれ“切る、分かつ”ことを特徴とする父性原理を身に着けて大人になっていくのだと心理学では分析しているそうです。『7歳位までは子供は神様の使いだと思って多少の事は大目に見てあげよう。』という考え方が古来日本の中では培われてきました。最近この子供状態がモラトリアムとして長引く傾向があるというのは問題ですが、世の中は益々自己責任という名の下で先の父性原理が助長され、常に大人である事を強いていくばかりです。自殺者が9年連続して3万人を超える現代において、私は子供の時代にこの母性原理をその内側に無意識にでもしっかり根付かせていってあげたいと思います。

 今回の禅の集いで子供たちに実践してもらった御本尊様へのお誓いとキャンドルサービス、本堂での坐禅などの催しの接点は実はこんなところにあったのかもしれません。

下総地区実行委員長 千葉市 満蔵寺 森田英仁 合掌


〜青年会員の感想〜

 8月2日、千葉県青年会と小学生対象の下総地区禅の集いが千葉市の満蔵寺様で開催されました。

 子供達は今日これから何がおこるのかわからず、心配そうな顔で母親に手を引かれながらくる子もいれば、足軽に笑顔を浮かべて集まってくる子もいました。けれど、そんな子達もやはり親と離れて一晩過ごすことは、心の中では不安だったのではないでしょうか。

 知らない顔同士で、固くなっていた子ども達も夕方にはすっかり打ち解け、ひとつの輪になっていました。友達をつくる子どもの力というのは、とても大人には真似できない気がしました。

 元気いっぱいに騒いでいた子ども達も、一歩法堂へ入ると、僧侶との「静かにする」という約束をしっかり守り、正座をしてお話を聞いたり、鐘や木魚を叩き、初めての体験で楽しんでいました。

 一日半の生活で私たちにすっかりなついてくれた子ども達も、迎えのお母さん方がくると後ろを振り向きもせず、次々とお母さんの胸へ飛び込んでいきました。私たちとの別れを惜しむこともなく、とっても嬉しそうな顔で帰って行き、やはり親の存在はすばらしいとつくづく感じました。

君津市 万福寺 大御祥敬 合掌



少年少女禅の集い 下総地区 日程
2日
3日
13:00 受付  5:00 起床
14:00 開会式・オリエンテーション  6:00 坐禅
15:00

レクリエーション@
ロウソク作り

 6:30 朝のおつとめ
 7:00 朝食
16:30 入浴  8:30 清掃
18:00

夕食
就寝準備

 9:00

レクリエーションB
オリエンテーリング

19:00

レクリエーションA
花火
坐禅・ともしびの集い

12:00 昼食
13:30 閉会式
21:30 就寝 14:30 解散

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