さるツーリング】              宝積寺 住職 武藤秀樹

 私はこの歳になるまで幸か不幸か「独り暮らし」をしたことがなく、結婚までしてしまいました。孤独を背負う覚悟もないくせに独り気ままな自由に憧れています。

 時々、(最近ではごく偶に)オートバイにバッグを括り付けアテもなく飛び出していきます。

 しかし、当然ながら数日後には必ず帰ってきてしまいます。それでもその限られた時間は何者にも換えがたい至福であります。いつからか、その「ツーリング」と呼ばれる我が逃避行に時間や行程のメモを取るようになり、日記などつけたためしのないワタシの貴重なメモリーとなっております。そのほんの一節を紹介しましょう。


2002.5.7(火)

東北道・築館IC〜R4〜R398 ・・・・雨がいよいよ強まり花山湖畔の公園にてカッパ着用。

県道178〜R457〜県道42〜県道49〜R342

 冷え切った身体を「真湯山荘」日帰り入浴390円にてあっためる、さらに国道を北上しようと思ったが、この先は商店はおろか、民家もないとの事で、仕方なく11kmほど引き返し、食料調達と給油。再びR342で栗駒峠に向かう。上りの峠道はガスで視界が悪く狭い。

 でもソメイヨシノが何ともキレイだ。峠の頂上付近は一面雪。またまた凍えそう。本日のネグラとアテにしていた須川野営場、須川湖野営場も閉鎖していた。嗚呼。とりあえず秋田県側に下る。大柳小学校手前を左折、ダートを上っていくと「大柳沼自然公園」。人っ子一人いないが、東屋を発見!ラッキー!早速テントを張る。今夜の宴は、一関の地酒「関山」超辛口、いける!いつもの通り、ゴハンを炊く。キムチ鍋。豚肉炒め。雨音を聴きながら21時頃には寝てしまったか。


2002.5.8(水)

 夢の中で雨音が聴こえていた・・・6時半起床。雨は時々強くなる。小便をしに外に出て見つけた名も知らない草花をお土産に地図に挟み込む。朝食は昨夜の残り飯・なめこ・みつば・ふきのとうの味噌汁・コーヒー。うだうだしながらやっとテントをたたみ9時に出発・・・。

 ソロツーリングばかり、十何年かやってきました。大雑把なワタシにはこれが一番で、出かける時も大体どっちの方角くらいしか決めずに雲行きや雰囲気で進んでしまいます。うまくいったときは勿論良いですが、時折失敗もあり、うわー、こんなはずじゃ無かった!ということも。大抵、あれが喰いたい、あっちの峠も走ってみたい、あそこの露天風呂でひと浴びしたい。


目次に戻る