菩提寺の本尊様を御存知ですか?       廣壽寺 副住職 松山健雄

 曹洞宗のお寺には必ず“本尊”と呼ばれる、信仰の中心となる仏像が本堂の中央に祀られています。

 これは、お釈迦様から連綿と続いているはずの仏教なのに、と思われるかもしれませんが、各お寺によってお釈迦様だったり、観音様だったり、或いは木製だったり、金属製だったり、そして大小様々、と画一性ありません。

 現に私が今、副住職を務めさせていただいているお寺では木製で人間の二分の一くらいのサイズの観音菩薩が本尊ですが、私の実家のお寺(こちらも曹洞宗です)は同じく木製ですが、手の平サイズの千手観音が本尊です。

 その土地で盛んに念仏が信仰されていたなら、阿弥陀様をお寺の本尊として近隣の人たちが親近感をもってお寺に寄りやすいようにしたり、かつては他宗の寺院であったが住職が居なくなりそこへ曹洞宗の和尚さんが来て改宗した、という事もお寺ではあったのですが、その時、土地の人々が長年親しみを抱いていた本尊はそのままにしておいた、というケースも有るようです。

 お寺の本堂内というのは一様に薄暗く、本尊が祀られている須弥壇(しゅみだん=祭壇)の上の方は檀信徒の方々が位置する席からは見えにくいことが多いので、機会が有ればそちらの住職さんに尋ねてみると、お寺の歴史も含め、色々な事が聞けるかもしれませんよ。


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