大切なもの                隆祥寺 副住職 四十澤承順

 2年振りにコラムの原稿を書いています。今回も前回に引き続きかなり個人的な話を少しだけ。

 皆さんの大切なものは何ですか? 人それぞれの価値観で色々なものが考えられますが、昨年、私の部屋に近代文化を象徴する「ある物」が入りました。その「ある物」とは、私が生活する上で何よりも必要な携帯電話よりも多機能で、出来ないことなど皆無に等しいのでは? と思えるほどの物。そう「パソコン」です。

 今まで近代化の波に逆らって…と言うより乗る気がなかったのかも知れませんが、周囲の声と仕事での必然性に押されて、ようやく購入に至りました。数ヶ月経った今でも覚えることの多さに奮闘の日々が続いています。購入前のイメージとしては、使ってるうちに慣れるだろうと簡単な気持ちでいましたが、なかなか思うようにいかないのが現実です。

 少し前のことになりますが、青年会の研修会として君津市社会福祉センターで行った「高齢者・障害者体験」というものに参加しました。その時に痛感したことが、「見る」「歩く」などの感覚や動作を制限された途端、いつもとは違う「見る」「歩く」になるということ。普段何気なく過ごしている日常が凄くありがたいことなんだということに気付かされました。

 前回の原稿を携帯で書いたときには、パソコンがなくても…と、思いつつ何の不便さも感じずにいましたが、パソコンで原稿を書いてみると便利なことに気付く。不慣れながらも徐々に早く打てるようにもなってきています。慣れてくれば文章作成だけではなく、もっともっとパソコンの便利さに気付くことになると思います。その時には、もう、携帯で原稿を書くことを不便に思っているかもしれません。

 ですが、先ほどの高齢者・障害者体験と同じで、色々な視点から物事を見たり、実際に経験してみないと、便利さや何気ないありがたさに気付かなかったりするものです。不便さを知ることの大切さ、その上で便利さやありがたさに感謝する「心のゆとり」が大切なことだと感じました。

 これからも「基本アナログ人間」のまま、スローライフを心がけて生活していきたいと思っています。最後まで読んでいただきありがとうございました。


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