いきもの町内会                 大泉寺 住職 児玉昌広

 春です・・。

 桜は満開に向けて一気に咲きほこり。今日は天気良好、2歳になる息子と境内を廻って「つくし」採り。他に美味しいものはあるのだけれど、毎年の味。「つくしの油炒め しょうゆ味」が食卓に上がって、晩餉はこれでちょっと一杯と相成りました。

 …過去に「つくし」が少なくなった気がする年が数年あったな。境内掃除の敵、夏の「スギナ」はいつも旺盛な気がするのだけれど…、イヤなヤツは忘れないって事なのかな?

 身近な環境っていつもの事だし、気づいてもすぐそのことを忘れちゃうんだよね。


 私は現在38歳、住職地の大泉寺では寝起きはしておらず、師匠(実父)のお寺で生活しています、私はそこで生まれ育ちました。場所はJR千葉駅から歩いて20分程の所、いわゆる市街地です。この歳で生家にいる小学校の同級生は町内で数人。仕事柄とはいえなかなかの希少種です。

 そんな私の「ご町内 いきもの編」。思い出ばなしと近頃の話なんだけど、思い立つままちょっと書いてみます。長くなるのでそれぞれ箇条書にします。それから私はその筋の専門家ではありませんのであしからず。

・アメンボ こいつはまったく見なくなりました。小学校のかえり道の水たまり、どっかから飛んできてワラワラいたな。あとゲンゴロウやミズスマシもいた。

・もぐら こいつも居ない。もぐら塚?(もぐらが地面に出した土の山)なつかしいな。ちなみに私は、別々の3人の人からもぐらに似ていると言われた事があります・・

・オナガ 鳥です。「ギャー ギャー」と鳴くやつ。大分少なくなりました。青みがかった灰色がきれいで結構好き。

・へび アオダイショウやシマヘビ、ヤマカガシ。木にかかったぬけがら、なつかしいな。今でも少し居るみたい。

・かえる ヒキガエルはたまにお見かけします。でも小さな青蛙は見なくなりました。

・せみ 地球温暖化でせみは増えていくそうだ。でも、ヒグラシやミンミンは声が聞こえなくなりました、アブラゼミ優勢。

・オケラ 夏の夜の音風景。「ジー ジー ・・」聞こえなくなりました。

・とんぼ 子どものころは、網をひとふりすれば何匹も捕まった、赤とんぼが多かったけどシオカラやヤンマもいた。一時ほとんど見なくなったけど、近所の公園整備の後、最近だいぶ増えてきました、でも赤とんぼだけ。

・いんこ(?) 数年前から。木にエメラルドグリーンの鳥が十数羽、いつ見てもびっくりする。

・ハクビシン こいつも会うといつもびっくり。

・いぬ 私が幼稚園の頃までは野良犬が群れをなしていたな、大人たちは野犬と言っていた。良くも悪くも私の原風景。

・ねこ これも野良のはなしですが、最近外人さんが増えたね。毛の長いやつとか。何年か前に「アメリカンショートヘアー」が流行った後、それみたいなやつをたくさん見かけたり。今や、さらにまぜこぜになって分けがわからん。

・etc. 見かけなくなった動植物はまだたくさんいます。


 私が大泉寺というお寺を預かり、住職になってそろそろ10年。仕事といえば草刈りばかりだけど、そこは山を背負った緑の多いお寺です。夏の夜、毎年ホタルが数匹、さびしそうに飛んでいます。今年も会えるかな?

思い返せば少年時代。すぐそばにいたあの動植物が、ふと思えば、もういない。
そんな事、ないですか?


目次に戻る