自然と付き合いながら              妙泉寺 徒弟 武長一俊

 蒸し暑い日が続きます。蝉達が一生懸命鳴き始める頃になると今年も夏が来たなぁ、と毎年の事ながら感じます。と言っても、今はどの季節でも快適に過ごせる便利な時代なので、都会に行くと蝉の鳴き声なんて全然気にも留めないですし、その存在すら忘れてしまいそうです。

 便利になって私達もいろんな面で快適に、不自由なく過ごせているのですが、最近はやっぱり自然に近いほうが身体にも心にも良いのかも…と、改めて思います。修行時代、冷暖設備がほとんどないような僧堂生活の中では、不自由に感じる事も多かったですが、“譲り合いながら上手く自然と付き合っていく。人間もそういう風に生きられるんだ。”という事に、その時気付かせて頂いたような気がします。

 道元禅師も四季折々の表情を詠んでいますが、日本人独特の繊細な心配りや、思いやりの心使いなどは自然との付き合いの中で育まれてきたのかもしれません。自分も便利に慣れすぎてしまったのかもしれないと反省しつつ、出来る事から一つ一つECOに心がけてみようかと思っています。


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