ありがたい『いのち』           慈本寺 副住職 薄永大明

 自分はあと何年生きられるか?

 これは高齢者ならずとも、誰でも気になる事柄である。実は、毎年6月頃に厚生省によって発表されている平均余命を待つまでもなく、簡単に自分の余命を計算することができるらしい。

 ある先生が考案された計算式は、65歳以上であって【110から自分の年齢を引き、それを二乗し、百で割る】というもの。男性は余命が短いため、さらに0.8を掛けるそうだ。

 たとえば65歳の女性では、110から65を引いた45を二乗すると 2025。百で割った20.25年が平均余命。同じ65歳の男性では0.8掛けた16.2年が平均余命となる。式で求めた値と厚生省発表の平均余命は、最高でも0.4歳の差しかないというのであるから、かなり正確といえる。しかしこれはあくまで統計上の平均の値のこと。

 大切なことは、私自身のいのちは『死』と共にある『生』であるということ。もともと『死』であるべきものが、今日も不思議に『生き得ている』ということ。ありがたい『いのち』を今日もいただいたという仏法の要(かなめ)に立った感謝を忘れてはならないということではないだろうか。


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