植物にふれて                  存林寺内 山本文龍

 数年前からひそかに楽しんでいることがある。それは植物を育てることだ。なにも流行りの家庭菜園やガーデニングなどという感じではなく、駐車場脇の1坪ほどのスペースにいくつかの野菜と草花を植えているだけだ。

 きっかけはテレビでみたフルーツトマトだった。

 なんでも、糖度が非常に高くフルーツ並みの甘さで家庭でも簡単に育てられることから人気を呼んでいる、というものだった。ちょっと面白そう‥と思って早速苗を買ってきた。そいつは毎朝の水やりだけでグングン育って結構実をつけた!さらに自分で育てたフルーツトマトはじつにうまかった!こうして僕は植物を育てることに目覚めた(笑)

 最近では徐々に種類も増え、今年はフルーツトマト以外にゴーヤ、島とうがらし、花ではブーゲンビリアが綺麗な花をつけた。

 植物にふれて前より感じるようになったものがある。

 朝いつものように水やりをしているときにふと、いままで気付かなかった『朝の空気にふくまれた僅かな秋の気配』『こないだまでいなかった野菜の根もとをうろつくコオロギ』『いつのまにか高くなった空の雲…』に気付く。

 小さいことのようだがこうした『四季のうつろい』を感じながら生活するのはいいものだなと思う。人間あくせく物事に追われるとそんな余裕はなくなってしまう。人ごとのようだが自分ごとだ。だからこういう小さな楽しみに気付ける自分でいたいと思う。

 来年はひそかにズッキーニを狙っている。

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