【人生の時間】               満蔵寺 副住職 野口隆道

 人はこの世に生を受け人生を歩みながら、いつかはお迎えが来て身体をお返しする時がやってきます。

 100人いれば100通りの生き方がある様に、皆人生の時間は違うのです。当たり前の事ではありますが、人生とは自分自身の行動(気持ち)で大きく変化し、数え切れない程の道が開かれます。そのことを考えるだけでも、とても奥が深いものと感じます。

 我々曹洞宗では時間の事を過去・現在・未来として表すだけではなく、もの凄く短い時間(単位を1刹那)が連なっていると考えています。

 何もかもが移り変わり、常に同じ時は無いのである。(諸行無常)

 人は誰でも「明日がある」、「明後日がある」、「来年がある」と言って先の事を考えてしまいます。本当にあるのでしょうか?と考えてみるとそれは絶対とは言い切れないのです。私達の人生(命)には、明日があるという保障はありません。だからこそ、今、ここ、この時を大切にしなくてはいけないのです。

「人生楽ありゃ苦もあるさ」と言う言葉があります。良い時も上手くいかない時もあると思いますが、後悔しても仕方がありません。その後悔があったからこそ今があり、今後に活かしていくべきではないでしょうか。


歌詞の1文にこのような言葉があります。
「言いたい事も言えないこんな世の中じゃ POISON」
「俺は俺をだますことなく生きてゆく OH OH」
(反町隆史の歌詞 POISONより)



 今の世の中、周りの事を気にしすぎて、自分の気持ちを表せていない人は数多くいるかもしれません。しかし、自分の殻に閉じ籠もっては毒であり、素直な気持ちを大切にして歩んでいこう。と言う意味があると私は感じました。

 人生は一度だけ、その人生の時間を精一杯生き、大切に過ごして行きたいです。


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