浪高くして魚龍と化す】            重俊院 副住職 小池幸童

 新聞を見ると『トヨタF1完全撤退』の文字。


 時代の流れというものの、悲しかった。


 ホンダは去年の12月に撤退。タイヤメーカーの日本のブリヂストンもタイヤ供給を来年いっぱいでやめるとの事。


 F1に少しでも興味のある者にとっては悔しい気持ちでいっぱいだが、それ以上に関係者の方、もっと辛かった事であろう。


 タイムを上げるために立ちはだかる難問の山。


 目の前に現れる次なる試練。


 滝を登り切った鯉の様に一度も龍とはなれなかったものの、その滝で得た経験は計り知れない。


 すでに、日本のF1に関係していた全メーカーが環境という名の新たな滝に全勢力を注いでいる。


 F1という滝で龍となれなかった鯉も含め、日本の多くの鯉が新たな滝に挑戦し、立派な龍となる事を願って止まない。


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