【無題】               報恩寺 副住職 新野 正明
 当山の住職が脳梗塞で倒れてから三年。入院治療しておりましたが、先日遷化(せんげ)いたしました。


 私はお寺とは別に、勤めにでておりました。住職からは「勤めを辞めて、早くお寺を継いで欲しい」とよく言われましたが、すぐに勤めを辞めるわけにもいかず、今年の春まで勤めをしておりました。


 また、同じ敷地内ではありますが、住職の念願でありました本堂の移築工事も終わり、病院から一時外出をして本堂をご覧いただきました。


 今思えば、住職は全てを見届けてから逝かれたように思われます。


 住職とは縁があり、私がまだ小学生のころ、僧侶である父が君津市のお寺へ赴任するご縁をいただいたのも当山の住職がきっかけであったと聞いております。その私が住職の後任となったのも不思議なご縁であります。


 偶然と言ってしまえばそれまでですが、色々なご縁の中で私が生かされているのだと感じずにはいられません。


 今般、住職の葬儀に際し、最初は配役の人数が足りず困っておりましたが、教区寺院のご縁により法要を執り行うだけの人数を整えることができました。


 僧侶の葬儀には何度かお手伝いをしていたものの、いざ自分のお寺でとなると気が動転してしまい、準備もままならない状況でしたが、教区のご寺院方と遠方より駆けつけて頂いた方丈様方のご加担により、何とか葬儀を執り行うことができました。


 これからも、ご縁を大切にしてまいりたいと思います。


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