褒める】               延命寺 副住職 青木 教亮
 私は現在、教育業界にも携わっておりますが、その業務内容の中に講師教育・生徒カウンセリング・保護者面談があります。


 対講師・対生徒・対保護者で話す内容や指導方法は違いますが、対人と言った部分で心掛けていることがあります。
それは「褒める」ということです。



 褒められて不快な気持ちになる人は居ないと思いますが、現代社会の中、家庭の中、組織の中、あらゆる中では否定的な言葉が多く飛び交っています。
それは大人社会だけでなく、子供たちの置かれている社会の中においても例外ではありません。


 「どうしたら出来る?」ではなく「何でそうするの?!」と言ったように、忙しい日々の中でついつい子供に対して厳しい言葉になってしまうことが多いのではないでしょうか。

 子供たちの良いところ、素晴らしいところを褒めることは、子供たちに自信を持ってもらう為にも本当に大切なことです。それは私たち大人の役割でもあります。


 道元禅師様は『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう) 菩提薩タ四攝法(ぼだいさったししょうぼう)』において「愛語といふは、衆生を見るに、先ず慈愛の心を発(おこ)し、顧愛の言語(ごんご)を施すなり。」とお示し下さっています。

 「愛語」とは慈悲による利他の愛から発せられた言葉を指します。

 慈しみ愛する心を持って相手を思いやった言葉をかけること、即ちそれが「褒める」ことに繋がるのだと思います。


 また、「褒める」上で併せて大切なことが「共感」です。

 自分の物差しで考えるのではなく、相手の立場になって共感することで信頼関係が生まれ、笑顔が生まれ、そして温かな気持ちで自然と「褒める」ことが出来るのではないでしょうか。


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