第3回定例会(人権学習・梅花練習)

 平成24年9月28日(金)、会員11名参加のもと、第3回定例会(人権学習・梅花練習)を行いました。

 午前中は、佐倉市養昌寺様にて庄司徳潤師を講師に盂蘭盆会御和讃と盂蘭盆会御詠歌(迎火)の2曲を練習しました。第17回梅花流千葉県奉詠大会まで2ヶ月をきり、会員全員が熱の入った練習となりました。お唱えが難しい所は何度も繰り返して、一つ一つ音程の確認をしてお唱えしました。庄司師より「高音の箇所で声が出しにくい場合は、口をより大きく開けると自然と喉も広がって良い発声ができます。そして、音の高低や拍に従って強弱をつけるとより良いお唱えになります。」と話がありました。

手で拍を取る会員  法具を用いて、お唱えする会員

 昼食後、印旛郡酒々井町にある社団法人千葉県人権啓発センターに移動し、常務理事の鎌田行平様より差別問題の歴史を原点から詳しく御講演いただき、フィールドワークでは本佐倉城址、差別戒名の刻まれた墓石群を視察しました。

人権学習風景  講師 鎌田行平様

 はじめの講演では、なぜ被差別部落が生まれたのか、そしてなぜ今も差別がなくならないのかというお話をお聞きしました。差別問題を学ぶには歴史をさかのぼり、日本における文化と庶民の生活様式、考え方、習慣などを理解することから始まります。講師の鎌田先生より「循環」という思想を例に解りやすい説明を頂きました。区別住み分けの時代があり、江戸時代にかけて身分制度の確立と共に差別へと移り変わり、明治以降の近代化、西欧化を目指す中での制度としての失策という、具体的な移り変わりを学び差別問題に対する視野が広がったように思います。今現在も結婚、就職時など転換期に問題が噴出することは周知の通りであります。更にインターネットや掲示板の普及により、部落差別問題は形を変え、複雑化しているようです。明確に歴史と文化を理解することが問題解決の第一歩となるはずです。

人権学習風景  ホワイトボードでの説明

 引き続き、フィールドワークにて本佐倉城跡へ向かいました。本佐倉城は関東有数の大名、千葉氏の居城であり、平成10年に国の史跡となりました。印旛沼が近いため交通や物資の運搬も行われ、戦を行うには最適な城でありました。部落差別問題を本佐倉城でその歴史と文化を学べます。当時の様相、役割等史跡を見ながら詳しく説明頂きました。残念ながら雨の影響もあって、城山の場所までは進むことができず、差別戒名のある墓地へと向かいました。

本佐倉城跡にて説明を聞く会員  矢の攻撃を避ける壁

 墓地に到着後、鎌田先生より墓石についての説明を受けました。近隣の寺院が廃寺となり、無縁仏になっていたのをこちらの墓地に移して供養しているそうです。墓石は全部で12基あって、そのうちの5基に差別戒名が刻まれていました。以前この地域には共有の山を見守る山番の仕事があり、彼らに差別戒名が授けられたのではないかということでした。戒名には革や草といった文字の入った墓石が確かに存在し確認することが出来ました。墓石を見ながら当時の認識などを交え差別に対する意識について説明頂き、見識を広めることが出来ました。

差別戒名を説明する鎌田様  戒名を確認する会員一同

 人権学習を通して部落差別問題の歴史や概念を今一度振り返り、今までの自分の知識とは違った歴史背景を感じることができ、とても勉強になりました。自分自身が知らず知らずのうちに「差別」や「偏見」の心で物事を見ていないか、改めて考えさせられる定例会でした。部落差別問題、差別戒名に限らず世の中には様々な差別があります。今回の定例会で学んだことを忘れず、人権問題について更に研鑽していきたいと思いました。

 講師をおつとめ頂きました鎌田行平様、懇切丁寧な御講演を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。そして、御参加いただきました会員の皆様、本当にお疲れ様でした。

〜参加者のコメント〜


『人権学習に参加して』

 9月28日(社)千葉県人権啓発センターにおいて、人権学習『部落差別問題の歴史』に参加させていただきました。

 この問題について、ある程度理解しているつもりでいた私に今回の講演は大きな衝撃を与えるものでした。というのも、私が今まで持っていた被差別部落における歴史認識と今回のそれとでは大きな隔たりがあったからです。

「江戸時代の身分制度以前からあった職業としての区別が、時代と共に「偏見」「差別」へと変貌していった、その何百年にも遡る歴史を知ること無しには、この問題の解決はありえない。」と言う講師の言葉に重みを感じると同時に、ものごとを一側面からだけではなく、様々な角度から考えることの大切さを再認識させられた人権学習でもありました。

 この機会をとおして学んだこと、感じたことをこれからの日々に生かして行きたいと思います。

東漸寺 副住職 丸島 和親 九拝


一覧に戻る