第4回定例会(布教)

 平成27年3月11日(水)、千葉市宗胤寺様に於いて、OB2名、会員17名、婦人会11名参加のもと、13時より第4回定例会(布教)を行いました。

 今回の定例会では、子ども家庭教育フォーラム代表の富田富士也先生による『老若男女とつながるためのコミュニケーションの極意』についてのご講演を賜りました。
 まずはじめに、布教委員長の薄永大明師より、富田先生のご紹介をいただきました。
 ご紹介ののち富田先生がお話になられた一言で、場の空気が和み、張りつめていた緊張もなくなり、とても心地よい雰囲気になったように感じました。
 先生が一方的にお話するというよりも、「対話の中での講演」というような印象を受けました。まさにコミュニケーションの極意として興味をそそられる始まりとなりました。

布教委員長 薄永大明師  講師 富田富士也先生

 講演では、実際にあった相談の中からいくつかをお話していただきました。
 その中で、私たちと同じ僧侶の方の悩みの話では、お檀家さんとのトラブルから、家族間でのトラブルへとかわってしまうお話など、自分たちも他人事ではない「はっ」とさせられるような内容もありました。


 また、ある方から先生がうけたお話の中で、「先日父がなくなりまして…105歳でした…周りの人は長生きしてよかったですねと言ってくれますが…長生きしすぎるのもねぇ…」というような事があったそうです。この話を聞いて、先生は私たちに「あなたならなんと答えますか?」と問いかけました。先生から指名された前列の人は、思わず「…」と黙ってしまい、なんと答えたらよいかわからなくなってしまいました。先生はそれを見て、「それでもいいのです。言葉にしない。ただ傍にいて話を聴くという話し方もあるのですよ。正解なんてないのだから」とおっしゃいました。

 コミュニケーションの方法は色々あります。言葉にしないと伝わらないこと、逆に言葉にしない方が伝わること、相手の話を『聞く』というのは文字・文章を聞くこと。『聴く』というのは言葉の余韻を聴くこと、先生はその両方を注意して聞いて(聴いて)みてくださいとおっしゃっていました。

講演の様子  ついつい笑顔になってしまう講演

隣の人とのコミュニケーション  身体を向け合いコミュニケーション

 富田先生は、話の途中で何回も「じゃあ隣の人と向き合って!じゃんけんしてください!」と声をかけました。それがじゃんけんだったり、相手を恋人だと思って愛をささやいてくださいなど、体を相手に向けて甘える、コミュニケーションをとるという実演をご指導していただきました。
 とても和気あいあいとした雰囲気でしたが、中には恥ずかしくて照れてできない人もおり、人と向き合うことの難しさも感じました。


 また、ある寺族の方の相談でも、いつもお檀家さんに対しては「仏様に甘えてくださいね」と言っているのに、私自身はお嫁さんと仲良くできない、甘えられない、先生のお話の中で、甘えられないという事は相手を信じていないから、傷つくのが怖いから、と聞いて「はっ」としました。私はお嫁さんのことを信じてなかったんだ、傷つきたくないから甘えることをできなかったんだと感じました。というお話もありました。

 甘える=信じる勇気。ある方が、『石橋は渡ってから叩け!』という事をおっしゃったそうです。先ずは信じて飛び込んでみる。相手を傷つけるかもしれない、自分も傷つくかもしれない、それでも相手を信じてぶつかる勇気、甘える勇気の大切さを、先生から教えていただきました。

迫力のあるご指導をいただきました  先生自らも実演

映像鑑賞の様子  席替えをしてのコミュニケーション

肩をもんでコミュニケーション  講演の最後に詩を詠む富田先生

 映像を15分ほど見てから席替えをして、今度は婦人会の方々とのコミュニケーションも行いました。相対してお話をする機会もなかなかありませんでしたので、この機会によりよい交流ができたと感じました。

 最後に富田先生が作詞された詩をみんなで朗読し、講演会は終了となりました。

 本日の講演で、改めて人と向き合うこと、甘えること、信じることの大切さ。弱音を吐ける場所、弱音を吐ける相手がいる有難さ、今一度自分の周りを振り返ることができたことに感謝の想いがこみあげてきました。

 富田富士也先生、力強く心に響くご講演を賜りましたことを心より御礼を申し上げます。また、ご参加いただきましたOB、会員の皆様、婦人会の皆様、お疲れ様でした。

〜参加者のコメント〜


『講演会に参加して』

 富田先生の講演を初めて聴かせていただきました。本当に内容が濃くて素晴らしかったです。
 心に響く言葉がたくさんあって、自分の生き方や子育て、人との関わり方を考える時間でした。『甘える』ということがどういうことで、どんなに大事なのかよくわかりました。
 人間は1人で生きていけないから、人と向き合わなければならない。そして、それが人とのつながりを持つという事なのですね。
 我が人生に生かせられるよう精進していきたいと思います。ありがとうございました。


法岩院 寺族 川村 純子 合掌


〜参加者のコメント〜


『甘えるという意味』

 富田先生のお話を聞かせていただき、人に甘えるということが非常に大切だと実感いたしました。

 甘えるとは、相手を信じるということ。お互いがお互いを信じあい繋がっていくことです。

 現在、社会問題にもなっている「いじめ」や「自死」も、人に甘えることができない、信じることができない故に起きてしまっているのだと思います。

 今後はそのような方々に頼ってもらえる、甘えてもらえる僧侶となり、人とのつながりを大切に生きていければと思います。

正因寺 住職 安田 宏彰 合掌



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