第1回定例会

 平成28年6月17日(金)、会員14名、相談役1名、OB1名、寺族3名参加のもと、我孫子市の法岩院様にて13時半より第1回定例会を行いました。

 今回は行政書士の勝桂子先生、泉福寺ご住職の山下昭文老師を講師にお招きし「身内(寺族・住職)が亡くなったときの諸手続き」をテーマにお話しいただきました。

法岩院様  勝先生@

勝先生A  勝先生B

 まず最初に、勝先生より「宗教法人の相続の心得」と題して講義をしていただきました。
 例えば、遺産相続の手続きを10か月以内に済ませなくてはならないと思い込んで手続した結果損をしてしまった、という事例があり、期限があるのは@「相続放棄」または「限定承認(プラスの財産のみ承認する)」A被相続人の納税関係の手続きが主たるもので、このほか相続税がかかる場合は10か月以内に申告することで何らかの特例が受けられる、というものでした。
すなわち、基本的には相続の手続きで期限があるものは少ないということです。こうした基本の仕組みから我々寺院が知識を持っておくことが大切です。
 次に「成年後見制度(認知症の方が騙されて不利な契約や悪徳商法を受けても後見人が取り消すことができる)」のうち「任意後見制度(まだ元気なうちに後見人を決定する制度)」を活用することで、万一に備えて法律行為を代行してもらう人を立てられるとのことでした。このあたりを含めた後見制度の詳しい内容について、資料を使って様々な事例を提示しつつ、丁寧にご説明くださいました。
 問題は後見人をだれにするかという問題で、特に現代社会においては独り身の方も少なくなく、遺産の運用や菩提寺での供養の面なども不安要素です。かといって赤の他人に突然お願いすることもできません。この点の手掛かりとなるものが2014年ごろに制定された「後見制度支援信託」という制度で、僧侶である我々こそこうした独り身の方との接点があるため、相続に関する制度においてもよく知り、ひろく「終活」の手助けとなって市民の不安要素の受け皿になってほしい、とご教示くださいました。

山下先生@  山下先生A

山下先生B  会長挨拶

 次に山下昭文老師より、住職・寺族が死亡した場合の諸手続きについて講義していただきました。
まずは資料を用いて、申請するものが何かからご教示くださり、後任(副住職)を立てている場合と立てていない場合の申請人がだれになるかなどの制度について詳しくご説明いただきました。また「住職の実印と銀行印を一緒にしないこと」「宗名と実名はなるべく一緒であるのが良い」などのアドバイスをいただきました。


 必ずしもその瞬間に知識が十分にあるとはいえない万一の時だからこそ、心もとない方々へのフォローが真っ先にできる立場であるのが我々僧侶である、という旨のお話はまったくそのとおりであると感じました。また僧侶自身も他人事ではないということで、漠然としていた知識にてこが入り、大変勉強になりました。勝先生、山下先生に感謝申し上げます。また参加者の皆様、ご多忙中のところお疲れ様でした。

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