令和6年度 第1回定例会

 令和6年6月14日(金)に、野田市鏡円寺様に於いて、会員10名参加のもと第1回定例会を行いました。今回は、群馬県前橋市より、真言宗豊山派天明寺御住職の鈴木辨望先生をお招きし、「現代に合わせたお寺の運営~天明寺の運営と樹木自然葬の例~」という題でご講義いただきました。

    

 はじめに、天明寺様についてご紹介いただきました。天明年間(1781~1788)に開創されたと伝えられている天明寺様は、鈴木先生が2004年に入られるまでの133年間、専従の住職がおらず、別の寺院の御住職が兼ねてお務めになる「兼務寺」であったとのことです。就任当初は町内のお檀家様26軒のみが支えるお寺で、特に経済面で心配されていました。しかし、鈴木先生が墓地の整備やイベントの開催、またそれらに関わる方々と真摯に向き合うことで、人気のお寺へと成長させました。寺院としてご法事やご葬儀等を行うのはもちろんのこと、地元の特産である白菜をお供えして行う「白菜加持法要」や護摩供養、火渡りなど、地域の方を招いてのイベントも盛んに行われています。天明寺様はお檀家様や信徒の皆様に喜ばれる場に生まれ変わり、今ではたくさんの方々により支えられるお寺となっています。

 次に、鈴木先生が天明寺を人気で活気あふれるお寺にするために取り組まれている工夫について伺いました。地域やお檀家様、信徒の皆様によりお寺に求められることは異なりますが、大切なことは相手の声に敏感になり、信頼されるよう寄り添って対応することだとおっしゃっていました。例えばお墓にもさまざまな形があります。迷われている方にはまずお預かりを提案して、適切な形を共に考えるとのことです。天明寺様で人気を集めている「樹木自然葬」は、ご遺骨を石で区切られたスペースに安置し、その上に名前などを記したプレートを設置するものです。こちらに埋葬された仏さまはお寺が永代にわたり管理し、合祀する期限の定めもありません。さらしの布に包んで納骨するため、ご遺骨は自然に還ることになります。鈴木先生が自ら設計し造成した、心のこもったお墓の形です。

 最後に、「千年続くお寺を目指して」というテーマで、お寺で普段行っていることのほかに、地域のためにどのようなことができるか、どのようにコミュニケーションを取るべきか、お寺の維持のために金銭的な負担をかけないためにはどうしたらよいかを考えました。

    
 

 我々は日々、お檀家様や信徒の皆様のご法事等を中心とするお寺の行事に取り組んでいますが、今回の講義を通じて、お寺の将来の姿やお墓のあり方について考えるきっかけとなりました。遠方よりお越しいただいた鈴木先生には、心より御礼申し上げます。



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