旅の折り返しの6日目は、釈尊の遺骸を荼毘に付した跡に建てられたと伝えられる大ストゥーバ、ラマバル塚や最後の説法の地を見学し、涅槃堂へ。安らかなお顔で横たわるお釈迦様の御前にて、武藤秀樹師が導師をお務めし、諷経をあげ、『大聖釈迦如来涅槃御詠歌』を奉詠しました。 午後はお釈迦様の生誕の地を目指し、ネパールとの国境を越えルンビニへ北上しました。


ラマバル塚  最後の説法の地

涅槃堂にて諷経  涅槃堂

涅槃堂  涅槃堂

  ネパール国境


 7日目、ルンビニ園のアショカ王柱前にて諷経。新野利行師が導師をお務めし、『釈尊花祭御和讃』を奉詠しました。予定通り無事、五大聖地巡礼を終えることができました。その後は深夜1時まで約15時間の移動。バス・飛行機を乗り継ぎ、デリーより南へ200キロのアグラへ向かいます。


ルンビニ園のアショカ王柱前にて諷経  ルンビニ園のアショカ王柱前にて諷経

  


 仏跡巡礼を終えた8日目、世界的に有名な世界遺産『タージ・マハル』を観光。大理石に宝石、貴石を散りばめられて建造された、イスラム建築の至宝ともいわれる偉大かつ巨大な建造物に圧倒されました。
 次に、こちらも世界遺産『アグラ城』を見学。16世紀から19世紀にかけてインドを支配した、ムガール帝国の栄光と強大な権力を感じることができました。


タージ・マハル  タージ・マハル

アグラ城  アグラ城


 インド滞在最終日、この日は道中、マトゥーラ博物館やインド門を見学しながら、デリー空港へ。巡礼中とても上手な日本語でガイドをしてくださったジャマールさんとお別れをし、インドを後にしました。


インド門  デリー空港


 10日間、ハードな日程を終え成田に着いた我々の顔は出発前とは明らかに違っていました。お釈迦様の歩まれた道を辿れたことは、僧侶として仏教徒として一生の思い出となりました。参加してくださった会員の皆様、道中ご協力ありがとうございました。特に、お疲れのところ仏跡での法要の導師をお引き受けくださった御寺院様方には、心より感謝いたします。本当にありがとうございました。


〜会員のコメント〜


『仏陀の道は険しきなり』   萬蔵院 住職 柿崎勇人

 この度は海外研修企画・インド仏跡巡礼に参加させて頂き、大変良き思い出になり、そしてお釈迦様の「み教え」を肌で感じてまいりました。当初は10日間の日程と言うことで、壇務等の事を考えると戸惑いと不安がありました。しかしこの機会を逃したら次回はない、そして頭を丸めた以上一度は行かなければと思い、一念発起で参加しました。


 私の事前の勉強不足と安易な考えもありましたが、とにかくインドは広く、そして日本は豊かという、国土の広さと貧富の差を思い知らされました。全行程2千キロの距離をほぼバスでの移動は想像以上に過酷であり、道路も満足な舗装でなく、土埃が舞っている状態でありました。裸足の人も見受けられ、バスの乗車口で待ち伏せをする子、乳児を背負っている子、障害を持っている子と、様々な物乞いの子供達。そしてそれを自分たちの生活の為にわざとさせる親がいると聞いて驚きました。まるで映画等で日本の戦時中を見ているような光景でありました。日本に居る時は普段何も考えることなく生活をしていましたが、しみじみと日本は恵まれているな、そして日本人で良かったと痛感しました。


 研修地も五大聖地の他に、寺院・御堂・博物館・跡地等を見学してきましたが、中でもガンジス河が特に衝撃的でありました。沐浴している人、洗濯をしている人、そして火葬をしている人と日本ではありえない風景でありました。又、御堂等の建物の中では5歳位の子供が全身を地面につけての五体投地のお拝を繰り返し、御堂の周囲を周っていました。私も真似してみましたが、少し難しいものがありました。これも日本の子供では考えられない事であります。どこもかしこも神秘的、いや仏秘的な所でありました。そして、インドと言えばタージ・マハルが有名であります。ここは8日目に行きましたが、「壮大な美」という言葉以上のところで、疲れを吹き飛ばしてくれそうな感じがする、墓所を超えた建物でありました。


 今、こうして振り返ってみると途中体調を崩し、皆様に御心配・御迷惑をおかけいたしましたが、参加して良かった。今後の僧侶としての糧になったような気が致します。まだインドに行ったことが無い方は、是非一度は渡航してみて下さい。必ず為になると思います。



〜会長のコメント〜


 念願のインド仏跡巡礼、無事終えることができました。予想以上のご参加を戴き、楽しくすばらしい巡礼になりました。みなさん本当に有難うございました。また、留守を許して戴いた参加者各家の皆さまに感謝申し上げます。


 参加者16名中、インド仏跡めぐり経験者は4名、他の皆さんはインド初体験とのこと。遠く、日本とは違う文化、環境の中、釈尊の足跡を目指し乗り物を使ってとはいえ、ひたすら移動の日々。予想以上のハードスケジュールに辟易した時もあったと思いますがどうかお許しください。


 我が身を通した信心の想像力が、旅行を巡礼にするのだと思います。仲間を得た巡礼は本当に有難い事だと感じた次第です。


 感じたことは、おひとりおひとり何かしらあったと思います。日々の暮らしの礎石のひとつになればうれしいです。


 どうもありがとう、そして、おつかれさまでした。


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