平成25年1月28日(月)〜2月1日(金)、OB1名、会員7名参加のもと、4泊5日の日程でタイ研修旅行に臨みました。青年会でタイに行くのは今回で3回目になります。現在、当会ではハガキリサイクル運動によりタイのこどもたちへの教育支援を行っていますが、タイに行ったことのない会員も多く、実際に現地における支援がどのようになっているかを見に行こうということで、今回の企画が決定しました。
【1日目/1月28日(月)/担当:野口隆道】
海外研修旅行初日、朝目覚めてカーテンを開けてみると外は真っ白な雪景色でした。成田空港10時45分のフライトに間に合うだろうかと、自分の頭の中も真っ白になりました。あわてて出発はしたものの、一般道は大渋滞、東関東自動車道は千葉北インターより閉鎖という状況。あるいは電車、あるいは通行止めの箇所を迂回して空港へ向かいましたが、雪の影響でフライト時間までに全員が集まる事ができず、この日タイ行き最終となる17時半発の便で向かうことになりました。
タイ空港に到着したのは日本時間で夜中の1時をまわっており、これから5日間お世話になる現地添乗員のエッグさんと合流した後、バンコク市内のホテルへ向かいました。早朝から雪というアクシデントに見舞われましたが、参加者8名が全員無事にホテルへ到着することができて本当にほっとしました。「旅行にはトラブルが付き物」という言葉を痛感した1日目でした。
【2日目/1月29日(火)/担当:野口隆道】
2日目は8時に出発してクロントイのスラムにあるシャンティ本部へ。タイではこの時期気温が20度以上となり、半袖でも暑い位でした。朝の通勤ではバイクタクシーを使用する人が多く、何台ものバイクが車の間をすいすいとすり抜けていきました。
1時間程度で公益財団法人シャンティ国際ボランティア会本部(SVAバンコク事務所)、シーカーアジア財団(NGO団体)に到着。現地スタッフであるアジア地域ディレクターの八木沢克昌様より、スラム地区の歴史や活動の内容、今後の改善方針について丁寧にご説明をいただきました。首都バンコクの5人に1人がスラムに住んでおり、市内に約1800あるスラムの中でもクロントイスラムはタイ最大だと言われています。どのスラムでも貧困問題が深刻で、スラムに対する差別、偏見などが就学や就職の障害となり、なかなかそこから抜け出せないという負のスパイラルになっています。SVAではこども達のためにアジアこども文化祭開催、とても評判が良く長年続けられてきましたが、クーデターのために現在は休止しています。八木沢様は「今後は国境・難民問題を抱えるミャンマー、ビルマ、中国、韓国を含めて、また復活させたい。国際交流を深めることによって自然と偏見が消え、人と触れ合うことが何よりも良い影響となり、新たな希望や未来が見えてくるだろう。」とおっしゃっていました。私達青年会のハガキリサイクル運動による支援はというと、移動図書館での絵本の補充やミャンマー国境付近に住む民族の人達に対しての支援に役立っているそうです。
SVAの活動内容
教育支援→図書館事業(移動図書館)・保育園事業・奨学金事業(大学生対象)
育成支援→職業訓練事業・学生寮の運営事業(クラフト商品)・国際交流(日本での研修)
農業研修事業
地域開発→クリーアンドグリーンプロジェクト・麻薬覚醒剤防止事業・高齢者福祉事業
山岳少数民族支援→北タイ・パヤオ県(モン族)・チェンライ県(アカ族)
西タイ・ターク県(カレン族)
本部で説明を受けた後、スラムのロック1、2、3地区と70ライ地区(ライ=面積)を実際に歩いてみました。八木沢様の案内で細い路地へ入ってみると、先程車で走ってきた大通りとは雰囲気が変わりました。家と家があまりにも近くて、道も人がやっとすれ違うことができる幅しかありません。元々ここは湿地帯で、未だに澱んだ水が溜まっている箇所があり、雨が降ると水が上がってきて氾濫することもあるそうです。昔はワニが沢山いたため、ワニの銅像を祀ったほこらなどもありました。また街の中には小さいながらも商店などがあり、家の軒先でお供え用の花輪、食べ物を入れる紙袋作り、食用にする鶏の足の爪切り等の仕事を行っている人もいました。しかし一日中仕事をしても、単価が低いためあまり収入にならないそうです。このスラムの中には線路が通っており、そこで遊ぶこどもたちにも会うことができました。街なかに麻薬の撲滅センター(コミ二ュケーション施設)もあり、街のあちこちに監視カメラを設置するなどして麻薬の売買を監視していました。
事務所に戻り、シーカーアジア財団で支援を行っているクラフト商品のお店を見た後、再び八木沢様にお話をお聞きしました。タイでは今日本ブームが到来していて、日本食や日本語が愛されているそうです。東日本大震災が起こった際はこのスラムでも募金活動が起こり、地震発生から数時間で90万円になったそうです。日本に送る応援や励ましの言葉を歌にして、ユーチューブで発信した歌手もいました。(「Thai For Japan」で検索)実際に事務所でその映像を見せていただいた時、とても感動して目頭が熱くなるのを感じました。最後にシーカーアジア財団事務局長 アルニー・プロンマー様よりご挨拶を頂き、SVAバンコク事務所を出発しました。
次に向かったのはエメラルド寺院(ワット・プラ・ケオ)です。エメラルド寺院はタイ寺院の中でも1番服装に厳しいと言われています。短パン、ミニスカート、タンクトップ等、肌の露出が多い服では入場ができません。身だしなみを整え中に入ってみると、そこはとても神聖な雰囲気でした。エメラルド寺院のご本尊であるお釈迦様は、深い緑色の輝きを放ち黄金のお袈裟身を身に着けていました。別名、エメラルド仏とも言われますが、材質は翡翠だそうです。
次に暁の寺(ワット・アルン)を見学しました。暁の寺に行くには舟でチャオプラヤー川の向こう岸に渡ります。敷地内には5基の仏塔があり、一番大きな仏塔の高さは75メートル、台座の周りは234メートルもあります。ご本尊の台座の下にはラーマ2世の遺骨が納められているそうです。
本日最後の目的地は涅槃仏寺(ワット・ポー)です。ワット・ポーは1788年、ラーマ1世により建てられたバンコク最古の寺院です。早速涅槃仏が安置されているお堂へ入ると、そこには全長49m、高さ12mのお釈迦様が横たわっていました。大きさもさることながら、優しく、かつ厳かな雰囲気のお姿に、しばし言葉を失いました。お釈迦様の御御足は長さ5m、幅1.5mもあり、その裏には仏教に関する108の絵が美しい螺鈿細工により描かれていました。敷地内にはタイ古式最高機関の学校があり、ヨガの行者たちの石像が置かれていたり、マッサージの総本山としても有名です。