平成20年度 海外研修旅行

〜中国 天童寺参拝〜


【4日目/3月6日(金)/担当:房田清光】

 研修旅行もいよいよ最終日。中国滞在も残り半日となりました。

 この日始めに向かったのは、杭州一の名所と言われる西湖です。この湖は中国十大風景名勝の一つで、その美しさから「地上の天国」とも呼ばれています。船乗り場からは何種類かの遊覧船が出ていて、湖上から西湖や周辺の風景を楽しむことが出来ます。私たちは屋形船のような形をした木造の舟に乗りましたが、見晴らしの良い舟尾に人が集中してしまい、少々後ろに傾きながらの舟出となりました。

この舟に乗りました 

 

 霧雨が降っていたので、湖上から臨む遠くの景色は少し霞んでいましたが、ガイドさんによると、このような状態の時が一番美しいのだそうです。向こう側に見える雷峰塔(黄妃が子供を生んだことを祝って呉越の王が建てた。現在の塔は2002年に復元されたもの)や、岸の柳が風に揺れる姿などがとても幻想的で、古代中国のイメージそのものでした。それぞれに西湖の風景を堪能しながら、およそ40分の遊覧を楽しみました。

 杭州はお茶の産地としても知られており、特に西湖周辺でとれる「龍井(ろんじん)茶」は、この地方の特産品となっています。また、茶葉を食べるという習慣もあり、茶葉を使った名物料理もあるそうです。遊覧船を降りた後は、龍井村にある中国茶葉博物館を訪れました。こちらは中国唯一のお茶の博物館で、中国の茶葉や茶文化の歴史、銘茶、茶事、飲茶風俗、茶具芸術などをテーマ別に展示しているほか、敷地内の茶畑ではお茶の栽培も行われています。

中国茶葉博物館 お茶の葉で出来ています

茶畑 数種類のお茶を試飲できます

 お茶の歴史は紀元前の中国からはじまったと言われています。それから2千年以上、飲み物としてだけでなく、道具や茶事などの文化も多くの人に愛されてきました。日常的に口にするお茶ですが、歴史や文化を知り、お茶の奥深さをしみじみ感じました。

 また、この博物館では中国各地のお茶を試飲することができ、係の人が実演しながら淹れ方を説明してくれます。併設されている売店では様々な種類のお茶を販売していて、私も名産品の龍井茶をお土産に買って帰りました。


 道元禅師が初めて中国の大地を踏まれた場所である寧波、修行の何たるかを示した老典座との再会をされた阿育王寺、師匠の如浄禅師と出会い修行された天童寺、如浄禅師の墓所へのお参りなど、道元禅師の中国での足跡を辿った今回の研修旅行は、私たちにとって本当に感激の連続となりました。また現代とは違い、船での渡航や徒歩での移動など、多くの困難があったであろうことに思いを馳せ、道元禅師の道を求める熱意に改めて感銘を受けました。

 今回の旅で身をもって感じたことを今後に生かし、道元禅師の法孫として仏祖の教えを大切に守り伝えていきたいと思います。


〜千曹青中国研修旅行によせて〜

 『邂逅』という言葉があります。
 「めぐりあう」と意味はほぼ似たようなところですが、特に、「その人の人生の中で重要となる人物との偶然の出逢い」「しばらく会っていなかった人と思いがけないところで偶然に逢うこと」という、強い縁(えにし)を感じさせる言葉と言えるでしょう。


 時に、今春、映画『禅 ZEN』が上映され、鑑賞する機会を得ました。素晴らしい映画であったことは勿論ですが、道元禅師をはじめ、懐奘禅師、義介禅師、寂円禅師、そして如淨禅師と、普段は朝課諷経の回向文位でしか身近ではないお祖師方が、実に生き生きと、そして人間味溢れる表情や動作で私たちの前に出現し、スクリーンを通じて相見しているという誠に不思議な感覚を得ました。

 今回の中国研修旅行は、道元禅師の大宋国での御足跡を辿るというコースで、企画を聞いた時からとても楽しみにしておりました。想えば、海外研修旅行は先々代の田中会長の企画以来、毎年度実施されてきました。異国の佛教寺院とその信者さん達を見ること、気候風土、食事等々、さまざまな刺激を受け、私の命の洗濯となっておりました。

 初めての大陸。また、たまたま『禅 ZEN』を観て間もなくという個人的な状況もあって、それまでの海外研修旅行とも違った期待感で一杯でした。

 寧波で、阿育王寺で、天童寺で、浄慈寺で、それぞれの場所で七百年余りの時を超え、道元禅師、如淨禅師、寂円禅師と邂逅を果たすことができたのだという感激も勿論ながらこの旅を共にする仲間が大いなる巡り合わせで出逢い、青年会を通じて日頃親しくお付き合いをさせて頂いている道元禅師の法孫である諸兄弟(ひんでい)であることに改めて想いを致し、感謝申し上げます。

ありがとうございました!

市原市 宝積寺 武藤秀樹 九拝


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